ボストンでのホームステイ生活の中で、一番印象に残っている時間のひとつは、ホストファーザーと一緒にリビングでメジャーリーグの試合をテレビ観戦したことです。ホストファミリーの家には広いリビングがあり、週末になると自然と家族が集まりました。私にとっては、アメリカの家庭の日常に入り込める大切な時間でした。
その日はボストン・レッドソックスの試合で、ホストファーザーは試合開始前からソファに座り、缶ビールを片手にとてもリラックスした様子でした。私は野球の細かいルールに詳しくありませんでしたが、彼はイニングごとに私に説明してくれて、まるで小さな解説者のようでした。英語の専門用語は難しかったけれど、ジェスチャーや熱い声のトーンで、彼がどれほどチームを愛しているかが伝わってきました。
印象的だったのは、試合中に一喜一憂する姿です。レッドソックスが点を取ると立ち上がって大声で喜び、逆にピンチになると頭を抱えながら「Oh no!」と叫ぶ。私はその様子に思わず笑ってしまい、一緒になって応援しました。日本でプロ野球を見るときとは全く違う雰囲気で、スポーツが家族の団らんや会話を自然に生み出すものだと感じました。
また、テレビ観戦を通じてアメリカ人の会話スタイルも学べました。ホストファーザーは試合のことだけでなく、選手の出身地や昔の名試合の話までしてくれて、そこから話題がどんどん広がっていきました。私は拙い英語で必死に返しながらも、少しずつ会話に慣れていく自分を感じていました。
その夜、試合が終わると「Good game!」と笑顔で私に言ってくれました。スポーツを通じて言葉を超えて気持ちが通じ合う瞬間を体験できたのです。あの時間は単なるテレビ観戦ではなく、アメリカの文化や人との距離を縮める大切なきっかけになりました。今でもあの夜の熱気や、ホストファーザーの楽しそうな姿を思い出すと、ボストンでの留学生活がいかに温かいものであったかを実感します。また、いつか、ボストンへ短期留学でホームステイしにまた来たいと思います。